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2023-07-28

介護職員として働けるビザを総まとめ!メリット・デメリットは?

2040年の介護職員不足問題と外国人登用の動き

第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について、2040年における介護職員の必要数は約280万人とされており、これは2019年度の介護職員数約211万人と比べて69 万人要増加と推計されています。
需給推計結果に基づく需給ギャップを埋める方策として、人材のすそ野の拡大を目指し、
① 介護職員の処遇改善
② 多様な人材の確保・育成
③ 離職防止・定着促進・生産性向上
④ 介護職の魅力向上
⑤ 外国人材の受入環境整備
など総合的な介護人材確保対策が取り組まれており、多様な人材の参入促進を図ることが進められています。

この外国人の登用については、2008 年から経済連携協定(以下、EPA)により、インドネシアから看護師・介護福祉士候補者の来日が始まり、現在はインドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国と EPA での看護師・介護福祉士候補を受け入れています。さらに外国人技能実習制度の見直しによる介護分野への対象職種の追加や、外国人留学生が介護福祉士等の特定国家資格を取得した場合に就労を認めるなど、介護人材の確保のすそ野を広げる動きが進んでおり、外国人介護人材の受け入れのための制度整備も進められています。

さらに政府は介護職員不足に対応するために、2019年4月より特定技能制度をスタートさせました。現在では6種類のビザ(在留資格)により、外国人を採用して介護職員に従事させることができるようになっています。

外国人が介護職員として働くためのビザについて


まず外国人が日本で働くためのカテゴリーについて確認しましょう。
外国人労働者は6つのカテゴリーに分けられます。

①高度に専門的な職業、大卒ホワイトカラー、技術者、外国人特有又は特殊な能力等を活かした職業など高度人材として就労目的で在留が認められる者です。このカテゴリーに 2017 年9月より在留資格として「介護」が新設されました。

「定住者(主に日系人)」「永住者」「日本人の配偶者等」など、出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)で認められた身分にもとづき、在留する者です。

③ 1993 年入管法の改正にて、技能移転を通じた開発途上国への国際協力が目的に創設された技能実習制度による「技能実習」生。このビザについては現在、入出国在留管理庁にて「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」が開催され、見直しするような中間報告書が提出されています。

④「特定活動」の在留資格で在留する者。EPAにより経済連携強化のため、看護師や介護福祉士の国家資格取得を目指す候補者もこのカテゴリーに分類されます。いわゆる「EPA介護福祉士候補者」というビザのことです。

「留学生」など本来の在留資格の活動を阻害しない範囲内(週28時間以内)でアルバイトする者となっています。

「特定技能」の在留資格です。特定技能制度は、国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度です。2018年に可決・成立した改正出入国管理法により在留資格「特定技能」が創設され、2019年4月から受入れが可能となりました。

主流な在留資格は①「介護」、③「技能実習」、④「特定活動EPA介護福祉士候補者」、⑥「特定技能」になります。

介護分野における在留資格(ビザ)と特徴

介護分野での主流な在留資格「介護」、「技能実習」「特定活動EPA介護福祉士候補者」「特定技能」の特徴を表にしました。

介護分野における在留資格(ビザ)別のメリット・デメリット

在留資格「介護」

メリット

・介護分野のビザの最上位ビザ、それが在留資格「介護」です!実質は介護分野の特定技能2号に位置付けられています。
・家族の帯同も可能であり、在留期間に制限がない(更新あり)。
・日本人介護福祉士と同じ扱いになるため、介護保険サービスは、介護職員として勤務できるところは全て可能。訪問系サービスにも従事できます。
・日本と母国を行き来しての就労が可能となります。これはプラチナビザです。
・外部機関からの監理や支援が必要なくなります。

デメリット

 ・事業所としては、日本人と同じ扱いになるので、処遇も介護福祉士取得している職員と同等に扱う必要があります。
 ・転職可能性が高まります。

技能実習

メリット

 ・原則として3年間、同じ雇用主(実習実施者)で技能を修得する制度のため、転職が原則認められていない。一定期間に安定的な労働力が確保できます。
 ・技能実習生3年経過後、特定技能に移ることで、自社育成された外国人を継続して雇用できます。
 ・監理組合による支援があるので、トラブル発生時にも外部機関から協力いただける。

デメリット

・監理費は母国送出し機関へも定期的に支払われるため、高額になる場合が多いです。
・着任後6か月間は介護保険サービスの常勤換算に含められません。
・出入国在留管理庁で制度の見直しの方向性があがっており、制度の継続については注意が必要です。

技能実習生は介護や日本語についての講習を受けており、一定の知識がある点もメリットと言えるでしょう。

EPA介護福祉士候補者

メリット

・一定以上の介護、看護についての知識を保有した人材を受け入れることが可能です。
・政府間の経済連携の一環としての制度のため、就業前の育成が充実しています。研修の内容も、日本語研修に始まり、日本社会や生活習慣の理解など多岐にわたって学びます。
・応募条件に母国で看護学校を卒業または看護過程を修了した方が対象のため、一定以上の介護、看護についての知識を持った人材を受け入れられる。
・制度上、国際貢献活動のため、原則転職が認められていません。

デメリット

・導入時期が決まっています。
・JITCOの支援が必須になります。
・訪日後に行われる研修の費用負担が必要です。
・着任後6か月間は介護保険サービスの常勤換算に含められません。
・制度上、就業時間中にも介護福祉士取得に向け、施設全体でのサポートが必要です。

特定技能

メリット

 ・新設要件がないため、新しく開設した介護施設の事業所でもすぐに特定技能外国人の雇用が可能です。
 ・着任後すぐに介護保険サービスの常勤換算に含められます。
 ・外国人、施設側の双方に経済的負担が少なくすみます。
 ・受入可能な人数が他のビザに比べて多い。日本人の常勤介護職員数の同数まで受け入れ可能です。

デメリット

・労働ビザのため、転職可能です。
・訪問サービスの業務には従事することは許可されていません。
・登録支援機関への管理費用が必要となりますので、適切な指導やしっかりとサポート体制の整った機関を選ぶことが重要です。

まとめ

外国人を介護分野で雇用する場合、在留資格は技能実習または特定技能での雇用が一般的となっています。
技能実習制度は今後見直しが考えられますので、特定技能による在留が中心になってくると思われます。
雇用側としては、できる限り永く勤務していただきたいというのが本音だと思います。それぞれのビザから在留資格「介護」への移行できるように計画していくことが重要となっていくと思います。

この記事を書いた人

武中朋彦

ジョイスリー株式会社代表
大学卒業後、IT企業にてシステムエンジニア(SE)として勤務。SE業務の傍ら、個々の社員のスキルアップを目指し、人事と連携してコーチングを実践、人材活性化に取り組む。
その後、福祉業界に転職。各種福祉サービスの整備、職員採用、サービス開始まで一連の事業開発に従事したのち、人事・事業開発部長として延べ1000人以上の採用募集、面接を実施する