【メダン駐在日本語教師 北野のつぶやき】インドネシアZ世代の特徴3②
前回に引き続き、インドネシアZ世代の特徴をご紹介します。
前回の記事はこちら。
今回はインドネシアZ世代の3つ目の特徴を紹介する前に、インドネシアのコミュニケーションについてご紹介したいと思います。
高コンテクストと低コンテクスト
人と人とのコミュニケーションに、「高コンテクスト(高文脈)コミュニケーション」と「低コンテクスト(低文脈)コミュニケーション」というスタイルがあります。
「高コンテクストコミュニケーション」とは、情報が言葉ではっきりと表現されず、多くの情報が環境、状況、非言語的要素に依存するスタイルで、高コンテクストの文化ではお互いの既有知識が重要視されるため、伝達する内容をすべて表現することは好まれません。
一方、「低コンテクストコミュニケーション」では、ほとんどのメッセージをはっきりと言葉で伝え、曖昧性がなく具体的なコミュニケーションが好まれます。
日本は高コンテクスト文化と言われています。いわゆる「察する文化」です。
低コンテクスト文化の代表国にはアメリカが挙げられます。日本と違い、様々な人種や歴史背景、宗教を持つ人々が共存する社会では、はっきり言葉にしないと伝えたいことが伝わらないということが起きてしまいます。「言わなくてもわかるでしょう?」が通用しません。
インドネシアの場合
インドネシアはどうかというと、「高コンテクスト文化」と言われています。
じゃあ、インドネシア人と日本人は似ているのかと思いきや、ここメダンにおいてはどうやら話が違うようです。一緒に働く2人のインドネシア人の先生に話を聞くと、「ジャワにいるジャワ人はあまりはっきり言わないけど、メダンのジャワ人は違う。メダンの人はみんなはっきり言う。特にバタック人。」とのこと。
インドネシア人の先生の話から、インドネシアが高コンテクスト文化と言われる所以は、人口の大部分を占める中部ジャワに居住するジャワ人を指すのではないかと考えます。
メダンの人は低コンテクスト文化?
前回ご紹介した通り、メダンにはバタック人が多く居住しています。
バタック人はインドネシアの中でもイエス・ノーの態度をハッキリさせ、かつ勇猛果敢な民族であるとして知られています。バタック人が多数居住するメダンでは、みんなが言葉ではっきり伝える低コンテクスト文化が発達しているのではないかと考えます。
私が3つ目に挙げたいインドネシア(メダン)Z世代の特徴は、ここまで書けば皆さんお判りでしょう。
インドネシア(メダン)Z世代の特徴
私がメダンでの日本語の授業で「○○は要りません。」とか「○○は嫌いです。」とはっきり伝えると相手を傷つけてしまうかもしれないので、「○○はちょっと…」という曖昧なフレーズを日本人はよく使うと説明すると、みんな「なんで?!」と驚いていました(^^)
インドネシア人の先生に教わった通り、メダンのコミュニケーションは日本とは逆で、はっきりと言葉で伝えることを普通としているのです。
インドネシア人と仕事をするときは、住んでいる地域によりますが、少なくともメダンにおいては曖昧な表現はせずに、はっきりと言葉で伝える方が良好なコミュニケーションがとれるかもしれません。日本に来るメダンで育った若者たちと接するときも、対日本人とは話し方を変えた方がいいと言えるでしょう。
いかがでしたか?インドネシアのZ世代の特徴を3つご紹介しました。
インドネシアの若者と一緒に仕事をする際の何かヒントになれば幸いです。
この記事を書いた人
北野文
日の出医療福祉グループ 国立メダン職業訓練校駐在 日本語講師
介護福祉士資格と日本語教師資格のダブルライセンスをもつ。
前職で医療福祉業界での人事を担当。介護現場での外国人人材の就労支援するなかで、実践の即した日本語教育の必要性を感じ、現在インドネシアにて介護人材育成に取り組んでいる。