外国人雇用 未導入企業が考える本音と問題点
皆さんは「外国人雇用」と聞いて、何を思い浮かべられますでしょうか。私は人事という仕事柄、「技能実習」や「特定技能」などのキーワードには耳馴染みがありました。
しかし、私も含め「聞いた事はある」というレベルでの認識をお持ちの方は多いと思われます。
そんな私も含め、なぜ世の中の大半を占める会社が人材不足の昨今で、外国人の採用に一歩を踏み出さない会社または、人事担当者ばかりなのか。自分の考えや偏りを見直す意味でも記事にして考えてみます。
このブログでは、私と同じく”矛盾状態”の人事担当者の方々と共に考えます。
Contents
まず初めに基本的な事実から
(1)外国人採用の基本データ
外国人を採用する企業は一体どれくらいいるのだろう。という事で調べてみました。
令和4年10月時点の外国人雇用届出情報によると(就労状況ではなく、届出という表現に少し違和感が残る)1,822,725人(182万2725人)で令和3年に比べて5.5%=95,504人(9万5504人)の増加があったとのことです。さらに、届出が義務化された平成19年以降では、過去最高を更新している。とあります。
※厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)から引用
さらに、外国人を雇用する事業所数は 298,790(29万8790)事業所で、前年比 13,710所増加し、届出義務化以降、過去最高を更新したが、対前年増加率は 4.8 %と、前年の 6.7 %から 1.9 ポイントの減少。とあります。
日本の労働人口は約6900万人と言われている為、182万人ということは・・・
日本の労働人口の内、2.6%は外国の方々の就労していることになります。
つまり、日本で働く50人に1人は外国の方々が働いている現状と言えます。
日本の事業所数は507万事業所と言われている為、29万事業所ということは・・・
日本の事業所の内、5.7%は外国の方々を受け入れている事業所となり、18事業所に1事業所は外国の方々を受け入れている事業所であると言えます。
(2)今どきの企業はグローバル化が当たり前
我々が日常的に使用しているGoogleやYahoo などの大手IT会社ではCEO等のTOPも含め、海外の方々が中心となり活躍を遂げています。日本国内でもエンジニアなどを中心に外国人の方々が働いています。このような大企業はもちろん、中小企業もまた、多様性の重要性を理解しており、グローバルな人材を取り入れることで、ビジネスの視点や発想を広げています。
企業がグローバル化を追求する背景には、さまざまな要因があります。
消費者のニーズが多様化してきた現代、新しい市場や顧客層にアプローチするためには、従来の枠組みを超えた取り組みが必要であり、多様なバックグラウンドを持つ人材の採用は、新しいアイディアや視点をもたらすために必要だと考えているのではないでしょうか。
グローバル人材の取り入れによって、企業内部の組織文化や働き方も変わってきています。異なる文化背景を持つ人材が一堂に会することで、コミュニケーション方法や意思決定のスタイルなど、従来の日本企業の慣習が変わり始めています。これにより、企業は柔軟性を増し、急激に変わるビジネス環境に迅速に対応することができるようになります。
また、多様性のあるチームは、クリエイティブなアイディアや解決策を生み出す確率が高いとも言われています。これは、異なる背景や経験を持つ人々が互いの視点を尊重し合い、協力して課題解決を進めることで、より幅広い視野からの解を見つけ出すことができるためです。
と言われて「そうだよね。じゃあうちも外国の方々の採用を!」とすんなり行動に移す方は少ないのでは無いでしょうか。
私も胸に手を当てて考えてみました・・・
「いや。そんなレベルの高い話されても、うちみたいな中小企業なんて当てはまんないよ!仮にそんなレベルの人が来ても、上手に扱えませんよ〜」(心の声)と。しかし、これは私の考えではありますが、同じ様に考えている方も多いと思われます。
企業人事が考える人材採用の変化
(1)「現在の日本は人手不足」ということは言わずもがなである。
経済の発展と共に、日本の労働人口は減少の一途を辿っています。これにより、多くの企業が人材獲得に苦しむ中、外国人労働者の採用は避けて通れない選択となってきました。
(2)同一賃金同一労働の原則による現場での環境変化
近年、同一労働同一賃金の原則が強化され、企業はその適用を迫られています。このため、外国人労働者も同じ待遇を受けることが期待されるようになり、企業の採用戦略に影響を与えています。
(3)「2:6:2」よりも「1:4:5」という感覚
昔の「2:6:2」の分布(上位2割、中間6割、下位2割)から、「1:4:5」の新しい分布に変わりつつあります。これは、中堅が4割、下位が5割という意味で、人材の評価や育成の方法も変わりつつあることを示しています。
外国人採用に対する不安、知見
(1)メリット・デメリットは把握している
外国人労働者の採用には、多様性の導入やグローバルな視点の取り入れなどのメリットがある一方、言葉の壁や文化の違いなどのデメリットも存在します。企業はこれらを踏まえた上で、適切な採用戦略を考える必要があります。
(2)給与や待遇はどうすれば良いのか
外国人労働者に対する給与や待遇は、日本人との公平性を保ちつつ、彼らの実情やニーズに応じたものでなければなりません。特に、ビザや生活支援などのサポートが必要となる場合もあります。
(3)何かあったらどうしよう…
事前の研修やオリエンテーション、定期的なフィードバックなどを通じて、外国人労働者とのコミュニケーションを深めることが重要です。また、トラブルが発生した場合の対応策や、サポート体制の整備も必要です。
以上、外国人採用に関する現状と課題について考察しました。企業が真に多様性を受け入れ、新しい価値を創出するためには、これらの問題に正面から取り組む姿勢が求められます。
この記事を書いた人
川口幸祐
株式会社 Let’s support 代表取締役
大学卒業後、スポーツメーカー、広告代理店での勤務を経て、株式会社Let's supportを設立。
ビジネスに悩む経営者から、就職に悩む学生まで、これまで2000社以上、述べ3000人との”課題解決対話”の経験を活かし、人々の幸せを追求するコンセプトのもと、人事支援事業にて関西を中心に活躍。